相続税の課税財産の範囲について
相続税法では、もっぱら財産とされていますが、この用語についての明確な定義規定はありません。したがって、相続税の課税財産の意義や範囲を正確に表現することはできないので、社会通念上、財産と認識できるものはすべて相続税の課税対象になると考えられます。ちなみに、相続税法基本通達11の2-1には「財産とは、金銭に見積ることができる経済的価値のあるすべてのものをいう」としてあります。
相続財産には、民法上の遺産に該当するものと、相続税法上の「みなし相続財産」があります。このうち「みなし相続財産」については、民法上の遺産でないものを課税することになりますから、税法で明確にその範囲や要件が定められています。
みなし相続財産のうち実務的に頻出重要な3つについて説明をします。
@ 生命保険金等 被相続人の死亡によって取得した生命保険契約の保険金等で、
その保険料のうち全部又は一部を被相続人が負担したものに対
応する部分の保険金が、相続財産とみなされます。
A 退職手当金等 被相続人の死亡によってもらった被相続人に支給されるべきで
あった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与で、被相
続人の死亡後3年以内に支給が確定したものが、相続財産とみ
なされます。
B 生命保険契約 相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保
に関する権利 険契約で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担してお
り、かつ、被相続人以外の人がその契約者である場合の生命保
険契約に関する権利のうち、被相続人が負担した保険料に相当
する部分が、契約者の相続財産とみなされます。