農地等の生前一括贈与者が死亡した場合
農地等の生前一括贈与をした贈与者が死亡した場合には、受贈者がそれまで納税猶予の特例の適用を受けていた贈与税額は免除されます。しかし、その免除された納税猶予に係る特例適用農地等は、その死亡した贈与者から受贈者が相続により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。この場合の相続税の計算の基礎に算入されるその農地等の価格は、贈与により取得した時の価額ではなく、その贈与者が死亡した日における価額によります。
なお、贈与者から直接贈与を受けたものではないものの、その贈与を受けた特例適用農地等の譲渡等をしたことに伴い、買換えの特例により取得した代替農地も、贈与者からの相続又は遺贈により取得したものとみなされて、相続税の課税対象となります。
このように租税特別措置法第70条の5の規定により相続により取得したとみなされる農地等については、相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができます。
なお、農地等の生前一括贈与をした贈与者の死亡により贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされる農地等は、贈与者の死亡の日まで受贈者によって現に納税猶予の特例が継続適用されているものに限られます。したがって、贈与者の死亡の日前に、受贈者が農業経営を廃止したことにより、贈与税の納税猶予に納税猶予税額の全部について期限が確定したときは、みなし規定の適用はないことになります。