遺産を分けることです
法定相続人が複数いる場合、共同相続人は遺言で禁じられた場合を除き、相続開始後いつでも、その協議で遺産の分割をすることができます。有効な協議分割となるためには、分割内容について共同相続全員が合意することが必要です。1人でも反対者がいる場合は、有効な協議分割はできませんので、さらに協議を継続し、合意見込みがなければ、遺産分割の調停または審判の申し立てを検討することとなります。
なお、相続放棄の意志を家庭裁判所に申述した者は、最初から相続人とならなかったものとみなされるので、遺産分割協議の当事者にはなりません。また、相続発生時に被相続人の配偶者が妊娠中であった場合、胎児が相続人となりますが、出産を待って、未成年者の法定代理人により協議を行うこととなります。
次に、遺産分割の内容について検討します。遺産の分割は遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行います。分割の方法には、@現物分割、A共有、B換価分割、C代償分割、D用役権の設定がありますが、主に@の現物分割が行われます。
相続人の意志は、民法の規定や被相続人の意志に優先すると考えられており、協議ではこの基準を一応の指針としながらも、合意の内容は、必ずしも法定相続分と一致する必要はありません。また、遺言がある場合に、それと異なる内容の遺産分割をすることも可能です。
遺産分割の合意ができたときは、その内容を記載した遺産分割協議書を作成します。現物分割の場合は、財産を特定し、取得する人と明確に対応するように記載します。
遺産分割協議書の作成は遺産分割協議の証拠にすぎませんから、それが作成されなくとも、これまでに「相続分のないことの証明書」の交付がされた場合で遺産分割協議の黙示的成立が認められた例など、遺産分割協議書がなくとも遺産分割協議の黙示的成立が認められた例はあります。ただし、同様の場合で否定された例はあります。
実務的には相続税の申告や不動産等の名義変更に必要不可欠であるため、必ず作成する書類です。